Snow Doll ~離れていても君を~

理希と好みが似すぎていたのも、半分血が繋がっていたせいだと言われれば納得がいく。


でも……本当の父親に、私と母は捨てられたのだから、あまり良い印象は抱けない。複雑な気分だ。


捨てられなければ、私はあの新しい母親と住むことはなく、肩の火傷を負うこともなかったのだから。


うつむく私の手を、そばにいた兄が握りしめる。


「昔の自分は未熟で若すぎたあまりに、こんなにも大きな罪を重ねてしまった……夏奈だけでなく、娘のことまで不幸せにしていたなんて」


本当の父親は、私が産まれてすぐに他の女の人との間に子どもができて、母と別れたらしい。

その子どもが、理希。

そのあと理希の母とも離婚し、今は理希と二人暮らしをしているという。


「息子の名前は、優希奈の希望の希をとって、理希にした。離れても繋がりが消えないように」


彼は母の墓石を見つめ、目を伏せた。


「離れていても、何度も思い出していた。夏奈のことを。そして、娘の優希奈のことを」


そんな風に言われても全然実感が湧かない。

小さい頃、たまに会いに来てくれたけど、自分の本当の父親だとは知らなかったのだから。
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