Snow Doll ~離れていても君を~
兄によると、私を椿高に転校させる予定だったらしく。そうなれば、海里とはもう二度と会えないところだった。
「俺にとっては振り出しに戻った感はあるけどな」
……そうだった。
海里との同居を解消した今。
彼にとっては敵の高校、しかも恋敵である薫兄さんと私がまた一緒に暮らすことになるなんて、モヤモヤした気分になるはず。
私が海里の立場だったら絶対に嫌だ。嫉妬で狂ってしまいそう。
「でも。一生会えないわけではないから。会いたいときに会えるなら、それでいい」
小さく微笑んだ海里はそっと私の髪を撫でた。
「そういえば海里、兄と何を話してたの?」
いつもよりストレートな彼の言葉に気恥ずかしくなった私は海里の腕から離れ、校舎へ繋がる雪の道を歩く。
「いや、別に」
「え、何か兄に言われてたよね。見たよ私」
「……優希奈を大事にしろってさ」
「あとは?」
「門限までに帰ってくるなら、二人で会ってもいいって」
「門限?」
「19時」
「……過保護でごめんね」
父も兄も、門限までに帰ってくるのを条件に、海里と会うことを制限しなかったそう。
「たぶん、理希の父親と同じことになって欲しくなかったんだと思う。俺も、優希奈には辛い思いをさせたくない」