怨返し─赦されない私の罪─


三人は面白がるようにしてその場を去っていく。
その三人の楽しそうに逃げる後ろ姿を見てため息を吐くと、持っていたランドセルを地面に置いて少年の身体を起こした。


「"章ちゃん"...大丈夫?」


「"ちぃちゃん"....ぐすん...ありがとう。助けてくれて...」


少年は次々に溢れてくる涙を砂埃の袖で拭くが、涙は止まらず両目をずっとごしごしと拭いていた。
少女は砂埃の少年の背中を叩き、砂埃を落としていた。


「あいつら...許せない!明日一緒に先生に報告しよ?」


「ちぃちゃん。僕...大丈夫だから...そんな事したらお母さん悲しむし、迷惑掛けちゃうから...」


「でも章ちゃん。このままだったらずっとイジメられちゃうんだよ?いいの?」


少し落ち着いたのか、少年は拭くのを止め、首を横に振った。


「良くないけど、とにかく言わないで欲しいんだ。...僕、頑張るから。」


すぐに壊れそうな作り笑顔を少年は作った。それを見て少女は自分も泣きそうな顔をして、それを誤魔化すように少年を立たせた。


「だ、だけど章ちゃん。章ちゃんはなんでやり返さないの?あんなやつら、全員ぶっ飛ばしちゃえばいいのに。」
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