怨返し─赦されない私の罪─
「立ち向かおうなんて...大袈裟だよ佐々木さん。私はそんなに強い人間じゃない。」
「そんなことありません!千澤さんは強い人です!少なくとも私なんかより....」
佐々木は食いつくように発言し、依奈は目を点にした。そんな依奈を見て、佐々木は顔を少し赤くして「すいません」としょんぼり縮こまった。
「....佐々木さんには私が強いと見えるの?私は全然そうは思ってないよ。アイツらの事怖いし、屈服してた...だから章ちゃんを....」
今思い出しても目頭が沸騰したかのように熱く感じる。依奈は空に目を向け、涙を堪えた。
「....三年前、私に親友がいました。学校にいる時も休みの日もよく遊んで....本当に毎日が楽しくて...
でもある時その子、虐められたんです。理由はモテるとか容姿が整ってるとかっていう理不尽な理由で....私、助けたかったんです。だけど、自分の身だけを守ってて...」
依奈の目頭が更に熱くなる。心がギスギスして締め付けられる。
「....もしかして....その親友....」
「....自殺です。崖から身を投げて....私、凄い後悔してました。何で手を差し伸べてあげなかったんだろう?って...
なのに....なのに私は、いじめていた人達に対抗しようなんて考えられなかったんです。その人達の報復が何より怖かった....私は彼女の死よりも自分を優先しちゃったんです...」