淡雪のように微笑む君を

「どうしたの、愛衣(あい)」

砂糖菓子のような、甘くて蕩けてしまいそうな笑みで私の名を呼んでくる。

彼に呼ばれると、くすぐったい。

甘くて、切なくて、もっと呼んで欲しいという気持ちが溢れてくる。

不思議だね。

君と出会ってから、もう4年の月日が流れていて、君の手と私の手が繋がれた日から、3年も経っているのに、私はまだ君にドキドキしてる。

それはまるで初恋をする乙女のように、逢いたいという一心で足を向けたり、声が聞きたいという理由でボタンを押すのを躊躇っているのと同じこと。

今の私と、何ら変わらないと思う。

「希咲は、春は好き?」

不意に思ったこと。

花が咲くのを待つ冬のような貴方は、春は好きだろうか?

現代の男性たちとは何処と無く違う彼は、この国の四季と自然を愛する人。

巡る季節の中で、美しく咲く花たちを見ては微笑む人。

私が問いかけた質問に、彼は悩んでいるようだ。

小さな質問に悩む姿さえ愛おしい。
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