perverse
覚悟を決めたはずの私

もしかしたら緊張のあまり顔が怖かったのかもしれない

さあ話そう・・・と息を吸った瞬間

「そういえば美波ちゃんって、北高出身なんだよね?」

絶妙なタイミングで宙さんが話し出す

「ええ・・・」

タイミングを逃した・・・

複雑な気持ちの私、とりあえず相槌を打つ

「オレも北高だから、美波ちゃんの先輩」
「でも私普通科ですよ。宙さんは特進科でしょう?」

北高とは私達の地元では一番の進学校で、医者である宙さんが先輩であるのは納得である

「ハハハ・・・まぁそうだけど、 普通科でも十分賢いと思うけど・・・」

お褒めの言葉は嬉しいけど、切り出すタイミングを失った私は結構ダメージを受けている

「どうして知っているんですか?」

何気なくぶつけた疑問に、宙さんは

「以前、翔に聞いたんだよ・・・」

と今日、宙さんに会って2時間以上経つけど、初めて宙さんの口からでた【翔】の名前

私はすかさず

「翔、元気ですか?」

ーーーーやっとの思いで口にした言葉







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