perverse
24 追跡
「宙さんあれ見て!」
運転している宙さんに指を指して示す
『やばい』
溜息とともに、宙さんが小さい声でつぶやく
急にあの姿が目に入ると不安に襲われてしまう
マンションの前にあるベンチに座るピンクの塊
翔の嫁の真寛さん
宙さんは見つからないように、アクセルを踏み込みスピードを加速させその場を去る
私も宙さんも言いたいことは一つ
『翔、思った以上に口が軽いな』
私も翔が話した
それしか思えない

ショッピッングセンターの駐車場にに着き宙さんは翔に電話をした
あっけらかんと、電話に出る翔に対して宙さんはご立腹気味
『お前マンションの場所アイツに言っただろう?』
「言ってない。そういえば真寛、何も言わずに1時間ぐらい前に出かけて行った」
言ってないのにバレているってことは
昨日の翔の足取りがバレていたって事?
宙さんも、私が思った事と同じ事を想像したようで
『昨日俺の家に行った事をアイツに話したか?』
「言うわけない……」
『スマホに位置情報がわかるアプリを入れてるか?』
「そんなの入れてない」
『今すぐ確かめろ』
そう言い電話を切る
私も一瞬それを疑った
『困ったな』
電話を切った後、ハンドルに頭を当て項垂れている宙さん
それからすぐ、宙さんのスマホに翔から着信がある
入れた記憶のないアプリが入っているらしい
翔がそのアプリの内容を調べてみると、位置が把握できるもののようだ
「どうしよう」
怖気づいている翔
『俺が言いたいよ』
「この後実家に来れない?」
翔が言うには今日実家に行くのはバレているのでそこで私達と落ち合っても疑われない
< 223 / 294 >

この作品をシェア

pagetop