breath
1
仕事の帰り道
会社のある駅にあるコーヒショップに立ち寄るのが私の日課
いつも座る席は、駅が見える窓側の席
カフェラテを飲む

何をするわけでもない
ただ窓の向こうにある人が歩いて来るのを見ているだけ

それだけで幸せだった

私がカフェラテを飲み終わる頃、彼の姿が見える
私は見ているだけで満足なのに
彼は、店舗内までやって来て私に声をかける

「何してるの?」
「休憩」

いつもと同じ言葉をかけ、私の頭をクシャて触って
「じゃあ」
と言って、彼は去っていく
それだけの関係

彼は今から、仕事に戻るのか?
彼女の所に行くのか?

私にはわからないし、彼も何も喋らない
そして、ただ『私を守りたい』と言うだけ
それが、どういう意味なのか
今の私にはわからない
< 1 / 657 >

この作品をシェア

pagetop