breath
「たぶん……騙されていないと……思います」

たどたどしくする私に対して、専務は

「望月さん、会社の上司ではなく一人の年上の人生の先輩が言う話として聞いてほしんだ」

真剣な眼差しで私を見る専務の視線が痛く感じる

「結婚は衝動とか思いつきでするのではなく、本当にこの人と人生を歩みたいと思った人としたほうがいい」

専務の意外とも思えるお言葉に、この人は本当に良い人なんだと思ってしまう

「そうですね……その通りだと思います」
「バツイチの私が言うのも説得力がないが、前の結婚で実感したんだ。今度は、何のしがらみもない好きな人と結婚しようと、自分でも思う」

専務が一従業員の私に、プライベートな話をするのもビックリだが、それを私にしてくれたのは、なぜか嬉しく思った。

「専務の好きな人は幸せですね。羨ましいです」
「ハハハ……、望月さんにそう言われると嬉しいよ。今は、その人は全然、私に振り向いてくれないんだがね……」
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