breath

その後、さっさと帰って行った樹さん

私は見送る気にもなれず、彼の後ろ姿をただ見るだけだった

ドアがパタンと閉まると、疲れがどっと出る

「あー疲れたー」

両手を上げながら背伸びをする

彼の滞在時間は30分ぐらいだったのに、すごく長く感じた

それぐらい緊張していたのだろう

突然の樹さんとの再会で、思っていたよりは心のダメージは少なかったような気がする

それだけでも救われた


それからしばらく経って、社長が戻ってくる

「大丈夫だったか?」

私を心配する社長

「思ったよりは、ダメージが少なかったみたいです」

安心したかのようにホッとした表情をする社長。やはり心病気の再発を心配しているのだろう

「何か言われたか?」

「社長のマンションの部屋が見たいと。後ほど連絡するそうです。あと1歳過ぎた家族を病院につれていくから帰ると……」

「そうか。同居してゆっくり話を聞くから、しばらく待っていてくれ」

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