breath
私の周りに流れる空気が変わる
泣き崩れている私の身体をフワッと誰かの腕が巻き付いた
懐かしい香水の香り
「どこに行っていたのよ。秘書課に研修に行ったっきり消えてしまって。心配したのよ」
抱きしめ泣いているのは先輩高野美奈子さん
同僚の女性社員の子達ももらい泣き
ただ異動したのではないのですか?
秘書課に研修に行き病気になって休職
復帰してすぐ社長に着いて行ったから本社に挨拶すらできなかった
挨拶に行かなかった私が悪いけど、異動先ってにわかるんじゃないですか?
何かおかしいとは思ったけど、課長がやって来て「続きは昼休みに」と言われ持ち場に戻る

昼休みの食堂
私の隣には私服の美奈子先輩
前にも横にも元同僚が取り囲んでいます
そして行き交う人達も私をジロジロ見てます
「突然消えたから高宮と結婚したと思っていたけど苗字が元のままじゃない。一体どういうこと?」
「結婚はしてません」
「2年も経っているんだよ。どういうこと?」
事情の知らない人が見たらそう思うだろう  
2年前樹は藤崎さんを牽制するために同僚達の前で私達の婚約を発表
その後すぐ私達二人が本社から消えた
樹が創業家一族で特別待遇でどこかに転勤したと思われてもおかしくない
樹は海外に私は子会社に出向していた事を説明
美奈子先輩は私と樹の間に何かがあったと思ってそれ以上聞く事はなかった
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