breath
19
山下さんに会った日の週末、山下さんの友達を含む4人で会うことになった
連れて来られた男性は大学時代の友人の峰山さん
製薬会社勤務でもちろんT大卒
彼女なし
容姿は普通だけど条件だけで亜美はメロメロ状態
オシャレな居酒屋に来たのだけど亜美は峰山さんの隣に
私は強制的に山下さんの隣に座ることになる
「高宮に連絡したけど繋がらないんだ」
「そうですか」
「だから実家に電話をしたら母親が出てきてもうすぐ結婚するからもう誘わないでねって言われた」
「どうしたの?表情が曇って。もしかして高宮のファン?」
「違いますよ!」
「どうしてそんなに俺に冷たいの?」
「彼女持ちだし恋愛に興味ないんです」
「高宮課長とどんな遊びをしてたんですか?」
「気になる?」
「はい。本社に戻られたら一緒に仕事をする可能性もありますので」
山下さんはそれから樹の話をしてくれた
サークルで三股をかけていたとか、山下さんの狙っていた女の子を横取りしたとか
聞かなければよかった・・・と思えるような酷い話
私が婚約者だと知ったら絶対話さない話題
でもそれは秘密で私は他人事のように笑いながら話を聞いた
顔は笑顔だけど心はズキズキ痛む

亜美が峰山さんの方に行ってくれたら私も無理して付き合うこともないし山下さんに会わないで済む
とりあえず私が今すべきことは合コンに行って男性を物色するのではなく、樹と向き合い自分の気持ちを告げるだけ
彼のペースに流されないで
そうしないと前に進めない
「彼氏とはどうなの?」
「まだ帰って来てないので」
「明日美ちゃんが俺と付き合ってくれるのなら即効で彼女と別れるけど」
「遠慮しておきます」
山下さんが言っていることは最低
自信があるの?
女性を物扱いなのか?
話を聞けば聞くほど引いてしまう
「どうして?」
「別に彼氏持ちの私じゃなくてもいくらでもいるでしょう?」
「モテるけどブスばっかり。並んで歩くなら望月さんみたいな綺麗な子の方が良い」
< 558 / 657 >

この作品をシェア

pagetop