breath
24 エピローグ
匠さんが社長就任を固辞するのには理由があり、全く面白味のない現状のこの会社で敗戦処理をするのが嫌なのだろう
結局、義父に押し付けて自分は関係ない利益を出している子会社の社長をしている
まだ結婚はしていないよう
誰もが嫌がる汚れ仕事を父の片腕として樹はやっているようで、日常は本当に仕事に忙殺されている
それなのに今日だけは私のためにこの日の為に仕事を詰め込んで無理してくれたよう
私と母の関係は結婚当初は最悪だったけど、孫が生まれてからはそれなりに良くなっている
子はかすがい
なんて言うけれど、本当にそうだと思う
今日も快く預かってもらっているから、ここに来ることができた
それなりには感謝もしているし、実際親になって母の思いもそれなりに理解しているところもある
実際、人に頼れないと生きていけない自分が悪いのも親になって理解できたところもある

朝一番で私の実家に行き慎を預けて出発
お昼にここに到着した
久しぶりのドライブ
最近は仕事が忙しく過ぎて、夜遅く自宅に帰宅する樹に必要最低限の会話しかしていなかったので、ドライブ中は久しぶりにたわいもない会話が弾んだ
本当に久しぶりの二人きりのデート
ホテルに到着すると、偶然なんだろうか?
3年前と同じ部屋に通され、懐かしさで気持ちがグッと来る
二度目のプロポーズをしてくれたこの部屋に、もう一度来ることができて本当にラッキーだと思った
部屋に入ると、樹がなぜか『一緒にお風呂に入りたい』ってせがんでくる
そういえば入籍をしてからは何度か一緒に入ったけど、妊娠してからは一度も入ったことがない
でも、出産前と比べると明らかに体形が変わっている
体重も出会った頃の体重に戻ったのでさすがに恥ずかしい
『電気を消してくれるのならば』
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