To serve one's lord!!
幸せだった毎日が嘘のように、両親はあっけなく死んでしまった。
傍らでは、まだ幼い弟の弓弦がわんわんと泣きじゃくっている。
ほんとは私だって泣きたい。
―――でも、私は弓弦のお姉ちゃんなんだから。
ぐっと堪え、弓弦の小刻みに揺れる肩をとんとんと叩く。
昔、母さんがしてくれたみたいに......。

「ッ......」

あぁ、駄目だ。
母さん、父さん。
私たち、これからどうすれば良いんでしょうか?

「まだ若かったのに、残念ね」

「千歌ちゃん達はこれからどうするのかしら」

「どこか当てはあるのかしらね」

母さんと父さんは駆け落ちして一緒になった。
そのため、2人の実家とは縁が切れている。
母さんは17で私を生んだので、何かと風当たりが強かったようだ。
ご近所付き合いはほとんどなく、葬式に来てくれたのは弓弦の幼稚園のお友達のお母さん数人と、町内会の会長さんとその奥さんと......と、両手で数え終えることが出来るほど、侘しい人数で。

その中の誰もが、私たち兄妹を引き取ってくれる程縁の深い人達じゃない。


―――ねぇ、神様。
もし、本当に神様がいるのなら、答えてください。
どうして、私たちなんですか?
うちは、元々裕福じゃないんです。
父さんも母さんも、必死に働いて4人食べていくのがやっとだったんです。当然、貯金なんてありません。生命保険にも入っていません。

なのに、なのに、あまりにも残酷すぎやしませんか......?


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