Vanilla
11
ぱかっ。

目を開けると見えたそれは、いつもの白い天井。
明るいから朝。

だが、ちょっと待て。
ベッドで眠った記憶は無い。
というか、朝永さんにビールを一口飲めと言われて飲んだ後の記憶が無い。

そう考えたところで、全身に冷や汗がブワッと噴き出る。
焦ってガバッと起きるとハッとする。
朝永さんが、左隣に居ない。

更に噴き出る冷や汗を感じながら、携帯で時間を慌てて確かめる。
するとまだ朝の七時前だった。

ベッドから飛び降り、急いでリビングに向かい、そろりと恐る恐る扉を開けた。
すぐにソファーに部屋着で座っている朝永さんを捉えると、緊張が身体を駆け巡る。
私はゆっくりと朝永さんへと向かうと、朝永さんが私へと目を向けた。
目が合った私は怯えすぎて身体がビクッと反応した。


「一口飲んだら寝た」

会話を朝永さんから投げてくれたことにはホッとしたが、ブワワワワッと冷や汗が滝のように流れる。
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