Vanilla
朝永さんの家の扉を恐る恐る開ける。
中は静かで電気も点いていない。
足音をあまり立てないようにソロソロ~っとゆっくり歩き、再び慎重にリビングの扉を開ける。

朝永さんは居なかった。
どうやら寝室に居るようだ。

顔を合わせずに済んだ事にホッと息を吐いてから時計を確認すると十九時前。
早く夕飯を作らないと何を言われるか分からない。

私は急いで夕飯の支度をすることにした。

今日作るのは焼きそばとお味噌汁。
ちゃちゃっと手早く作れるものにした。

だが取り掛かろうとしたのに、私は気になりすぎて手の動きを止めた。

上の開き戸の棚にあるコップやお皿や小鉢などの食器が二セットずつあるから。

他のところを開けることにした。
開けた引き出しはカトラリーが入っていた。
そのカトラリーも二セットずつ。
食器は白の陶器だったが、箸はピンクと水色の明らかに男女が使っていたと思われる。
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