秘/恋
「ごめーん」
「ごめんじゃないよ、何時間待たせるのッ!」
「こいつが着替えるの、着替えないのってモタモタしてっから」
「女の子に責任押しつけるの? あんた最悪ッ!」
「四半世紀ものの生き物が、『オンナノコ』云うな……」
「無神経!」
シャープに、もう金髪じゃなくなった樹也の脳天に、なぎのエルボーが決まる。
身長差を超える確かな殺傷力。
いつもの光景に、あたしと貴子さんは顔を見合わせ、含み笑った。
明良が消えて、十年。
あたしは、こんな感じで毎日過ごしてる。