once again
「なんなの!何様のつもりなのよ!」

ベランダに出た私を、瑠璃はガラスを叩いてさけんでいた。

そして、ベランダから戻り放心状態になっている私を、瑠璃は抱きしめてくれた。
私は、声を出して泣いた。



「あの秘書室長って、嫌な感じしたけど、そのままだったわね!」

「瑠璃、…ごめんね」

「どうして謝るのよ!涼香は何もしていないじゃない」

瑠璃の腕に抱かれて少し落ち着いた。
涙も枯れたのか、もう泣く事さえ出来なくなっていた。


「涼香、これからどうするの?仕事続ける?」

「仕事か…忘れてたよ。」

「辞めた方がいいかもね…」

「…そうだね」

瑠璃に言われるまで、仕事の事なんて頭になかった。
そうだ、専務と顔合わせなくちゃいけないんだ。
このままやっていけるなんて思ってもなかった。
瑠璃の言うように、辞める方向で考えよう…

「今日泊まろうか?」

「ううん、瑠璃も明日からフランスでしょ?ありがとう。もう大丈夫だよ」

「そう?じゃ、帰るけど、何かあったら電話してきなさいよ?美玲や有里華ちゃんは知ってるの?この事」

「ううん、言ってない…」

「近くにいる友達でしょ?相談にのってもらいなよ?」

「うん、そうする…」

じゃあね、と瑠璃は帰って行った。
瑠璃が言うように美玲と有里華には、こんな事になってるなんて事話してなかったから、明日でも話しようかな、言ったらスッキリするかもしれない。

うん。
そうしよう…
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