once again
ラウンジに着いた私達が見たのは、カウンターで並んで飲んでいる二人の姿。

明らかに専務は酔っているようだった。

「やったな…」

それを見た天城さんは、ボソッと呟いた。

「ちょっとここで待ってて」

「え?天城?」

喋ろうとする瑠璃を、手で制した天城さんはカウンターにいるバーテンに声をかけた。

「よっ、久しぶり」

「あ、ご無沙汰です。天城さん一人ですか?」

「ん、まぁな。それよりちょっといいか?」

瑠璃とその光景を見ていた私は、何がなんだか分からなかった。

「知り合いなんて、私知らないんだけど」

瑠璃でも知らない事あるんだ。

天城さんは、すぐに戻ってきた。

「ちょっと、天城。ここに知り合いがいるなんて…」

「その事は後で。涼香さん、早めに専務さん確保した方がいい。薬は入れてないが、アルコールが強い酒をさっきから、飲ませてるらしいよ、あの女」

「え?そんな…」

「カウンターにいる、あいつは大学の後輩なんだ。信頼は出来るから、話を聞いてきた。専務さん、少しは酔ってるから、アルコールの強さまで分かってないみたいだ」

「天城、担いでいける?」

「いくしかないだろ。ってか、専務さん部屋取ってあるらしいから、そこへ連れ込む感じだぞ?あの女」

「連れ込むって…」

「涼香!私が夏帆の気を引くから、天城とエレベーターまで頑張りな、分かった?」

天城さんと瑠璃の気迫に負けた。

「う、うん」

「行くわよ」

私達は目的を持って、ラウンジに入った。
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