恋・愛至上命令。
「わたしが朝ご飯作るから、凪はまだ寝てて?」

カーテンの隙間から洩れる明るさからすると、だいぶ陽は高くなっていそう。
顔を上げれば、気怠そうな眼差しを細める凪と目が合う。

「休みくらいゆっくりしても罰は当たらないだろう」

「それはそうだけど・・・」

「それとも嫌か? ・・・俺とこうしてるのは」

まさか凪の口からこんな科白が飛び出してくるなんて。
思わず目を瞬かせ、はにかんで首を小さく横に振った。

「一日中でもこうしてたい」

「・・・・・・」

すかさず啄ばむキスが落ち。ベッドのスプリングを鈍く軋ませ、凪は体勢を変えて覆い被さるようにわたしを下に捕まえた。

「・・・明日、お嬢を連れて、春日の親父と姐さんに挨拶に行きます」

にわかに意思を宿した闇色の眸と間近でぶつかる。

「俺がこのまま支倉で世話になることと、ここでまた一緒に暮らすことは、先に承知してもらいました。最後のけじめは瀬里お嬢の前でつけさせてください」
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