恋・愛至上命令。
幸生の言うことっていちいち図星をついてくるから、割りと反論できなくて口惜しい。

「家事はこれから凪に教わって少しずつ憶えるし・・・っ」

もごもご言うと、冷めた笑いで口角を上げる弟。

「賞味期限切れになる前に頑張って憶えなよ」

「・・・あんたねぇ」

思わずこっちも暗黒オーラを放つ。
するとお父さんが咳払いで間を割った。

「まあ俺も瀬里の結婚についちゃ、好きにさせる気ではいるがな。決まった男がいる訳でもないんだろ?」

「・・・それは、そう・・・だけど」

膝の上で拳を握り締める。

「どうだ瀬里。お前にちょうどいい相手がいるんだが。気楽な気持ちで会ってみねぇかい」

そこでいきなりお父さんの口から飛び出した“お見合い話”に、ぎょっとして目を見張った。
今日呼び出した目的がまさかこれだったなんて。
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