恋・愛至上命令。
両方の手首を取られて身動きが取れない。乱暴に舌が口をこじ開け凪が入り込む。わたしを追いかけ追い詰め、絡みついてはなぞられ、吸われる。シートに縫い留めたまま、角度を変え何度もわたしの口を侵す。

欲情を一気にぶつけられてるみたいな。激しいキス。空気を求めて喘ぐ吐息が切れ切れに漏れて。凪はそうするともっと奪いに来る。長い時間、深く繋ぎ合って。やっと離してもらえた時には、肩で息をするほどだった。

間近で凪と目が合う。
眉間に怒りを潜め苛立ちすら感じる、こんな感情的な眸を初めて見た。怖いより・・・嬉しかった。本気を晒してくれたことが。

「・・・・・・貴女はどこまで勝手なんです、瀬里お嬢・・・!」

低い声にすらそれが露わになって。
形の良い薄めの唇を凪は歪めた。

「そんなに私を苦しめるのが楽しいですか。お嬢を黙って行かせると思いましたか。この一年、私がどれだけ・・・!」

わたしの手首を掴んでる指に更に力が籠る。

「・・・高津のところには行かせませんよ」
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