黒薔薇の命約
昔語り
――昔々、
歴史にさえ忘れ去られた程遠い昔。
地上に存在する大陸、四、在り。
神々は四つの大陸、それを取り囲む広大で、静かな海をヒトの手に委ねり。
長い長い平和。
その後に訪れしは騒乱。
其は大地を破壊しせしめ、汚染の限りを尽くし、数多の命を粉々に砕きし。
其にあるは破壊、それのみ。
其にあるはヒトの欲望、それのみ。
――ついに神々は悟れり。
ヒトに委ねることが間違いなり、と。
ヒトが犯せし大罪、見逃せじ、しかし全て無にはできじ。
ならばヒトの住む大地を砕こう。
――――そして、四ある大陸は一つに減らされり。
この一つの大陸でのみ、ヒトは生きることを許された。