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日常

知識

知るということは悲しい事ですね。

どうして?

知らなければこんなに胸が痛くなることもなかったのではないか?と思うことがたくさんあります。

そうかもしれないね。でも、知ることで幸せなこともあったんじゃないかい?

・・・。

たとえば高台から眺めた町はどうだった?

とても美しかったです。

知らない方がよかった?

そうは思いません。

たとえばサンゴ礁に群れる色鮮やかな魚たちを見てどう思った?

とても美しかったです。

心はどんな風に反応しただろう?

とてもどきどきしました。全身が熱くなって、私の知らない世界に美しいものがたくさんあるのではないかと思いました。

そう。よかった。きっと一遍だけが存在する世界など存在しないのだと、僕は思うんだ。

それはどういう意味ですか?

嬉しいと感じることもあれば、悲しいと感じることもこの世にはあって、決してどちらかだけを選び取るなんて不可能なんだと思うよ。

とても難しいことですね。

たくさんの経験をして、心がたくさん動く。この世界を遊びきってしまう事が究極の幸せではないかな?と僕は思うのだけどどうだろうか?

素敵です。

よかった。

人それぞれ幸せの形はあると思います。あなたの幸せは大きくて未来がキラキラしています。世界がつまらないものではないように思えます。

ありがとう。

悲しいと感じることが起きても、世界を遊びつくすことをあきらめませんか?

どうだろう。その悲しい出来事が何かによるかもしれない。でも、僕は諦めないと思うよ。そして君にもたくさんのキラキラを見せてあげたいと思う。

私が悲しみに立ち止ってしまったらどうしますか?

それが悲しくない事だと話してきかせるよ。

悲しい出来事が、悲しくない出来事に変わると言うのですか?

あぁ。

そんなことはありえません。

どうして?

私は小鳥と過ごしていたことがあります。彼はとても賢く聡明で、優しい歌声の持ち主でした。美しい翼を操り、宙を舞うのが上手でした。

へぇ。彼に会ってみたいな。

もう会えません。

どうして?

死んでしまったからです。

そう。それは悲しい出来事だ。

そうです。この悲しみは決して変えられません。

大丈夫だよ。彼はまだ生きている。

どういう意味ですか?

君が語った事で、体はなくても彼はここに生きている。僕はね、死ぬといううことは何もかもから忘れ去られることだと思っているんだ。

・・・。

君が語ることでほかの誰かが彼を語るかもしれない。賢く聡明で、優しい歌声の美しい翼をもった彼の事を。

それは少し嬉しいと感じます。

よかった。そうやって彼はずっと未来を生きていけるのさ。君に出会えてよかった。とても幸せなことだ。

少し、心が軽くなったような気がします。

そうやってひとつひとつ、悲しいことを解きほぐしながら、出会ったすべてに感謝して、新しい明日に君と進んでいきたいと思うんだ。

とても素敵な事ですね。

そうだね。あぁ、つい話しすぎてしまった。もうこんな時間だ。君はそろそろ寝た方がいい。

わかりました。そうします。

良い夢を。

はい。おやすみなさい。
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