君を借りてもいいですか?
「本当にこの中にニンジンが入ってるの?」

「入ってるますよ。見た目ではわからないから食べてみてください」

「……ああ」

最初はゲテモノでも食べるように警戒心むき出しだったが、一口食べたら表情が変わった。

「本当に入ってる?」

「入ってますよ〜」

ハンバーグソースもかかってるからあまりニンジンの存在は感じられないはず。

「……うまい!まじでうまいよこれ。スープも少し舌触りを感じるけど美味しい。おかわりってできる?」

食べる姿はまるで少年のようだ。

美味しそうに食べる姿を見ると作った甲斐があるし、またこの顔が見たくなる。

「湊人がたくさんすりおろしてくれたからたくさんありますよ」

するとメールの着信音が鳴った。

「電話、栞じゃない?」

「あっ!……うん。メールだから後で見るよ」

私にはそのメールが誰からなのかすぐにわかった。亜矢だ。

恐らく、打ち合わせの件だ。

美味しそうに食べている湊人をみていたら、こういうことも話さなきゃいけないのかな?と後ろめたい気持ちになった。

食事の後にメールを確認すると打ち合わせ時間と場所が書いてあった。
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