君を借りてもいいですか?
亜矢の企み
「白石通商といえば大手よ。そんな大手企業の御曹司の彼女のふりなんて超がつくほど面白いじゃん」

「面白い?」

それは第三者だから言える感想だ。当事者の身になってほしい。

「別に二人は結婚するわけじゃないんでしょ?逆にお互い結婚願望ゼロ同士なんだし……でね、私あれからその白石さんって人検索してみたのよ。そしたらさ〜ヒットしたのよ!『イケメン御曹司』ってタグがいっぱいついてたよ〜。もううちの雑誌のモデルになってほしいぐらいよ」

確かにモデルやっててもおかしくないよ。顔は小さいし、その小さな面積の中に優れたパーツがバランスよく配置されてるんだからね。

「それで、彼がなんで栞を選んだのかもわかった気がする」

亜矢はドヤ顔で頷いた。

「私が結婚に興味ないからでしょ?」

それ以外何があるの?

「誰でもよかったら多分、恋人役を頼まれた女子はみんな白石さんの肩書きとそのルックスに惚れてしまう。だーけーど!栞ならそういう感情を持たずに割り切って恋人のふりをしてくれると思ったからわざわざ図書館まで行って『借りたい』っていったんじゃないの?」

亜矢の力説とは裏腹に、ボランティアじゃあるまいし自分になんのメリットもない提案を快く受け入れる大きな気持ちを私は持ち合わせていない。
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