君を借りてもいいですか?
「どうしたの?」

「ううん。なんでもない…じゃあ、オムライスにするので…ちょっと待ってて」

私はバッグからメモ帳を取り出すとオムライスに必要なものを書き込む。

念のために調味料もチェックして…

「じゃあ、これだけ買ってきてください」

「わかった。じゃ〜行ってくるね」

「行ってらっしゃい」

大人なのに子供が行くみたいに見えて口元が緩む。すると湊人の足が止まった。

「どうしたの?」

「ううん。『行ってらっしゃい』って言われるのいいな〜って思ってさ」

湊人は照れ臭そうに靴を履いて家を出た。

確かにそうかも…私も一人暮らしだから誰かに「行ってきます」とか「行ってらっしゃい」なんて
言わない。

でもさ、それおひとりさまがいいって人の発言かしら?と思ったが、今はそんなことを考えている暇など私にはなかった。

「帰ってくるまでになんとかしなくちゃ!」


自分のアパートより広い部屋の掃除を始めて30分。

なんとか人が生活できるぐらいまでになった。もちろん、完璧ではないけど、時間も遅いので一旦区切りをつけた。

それからキッチンに立ち、湊人が帰ってくる間にご飯を炊く。

「しかし、本当になにもないな〜」

思わず独り言が多くなる。

ご飯が炊ける間にお風呂掃除でもするかな〜と考えていたら

「ただいま〜」

湊人が帰ってきた。

< 85 / 115 >

この作品をシェア

pagetop