今日も今日とて、告りますのでご覚悟を。
サロンさんの中には、とても変わった持論を持ったオーナーさんもいて、この時のお客様はまさに想像の斜め上を行く方で、営業部の藤原も、その上司の大河原さんも困った顔をしていた。
そこに現れたのが、水瀬さん。
『どうされました?』
『どうしたもこうしたもないよ~、おたくの部下はどうなっているんだ? 私はこういう企画を考えて、こういう意思を持って、こういうやり方で、(以下無理難題な案件)を持ってきたんだよ!』
『拝見します』
『ったくよ~、最近の若い者は発想力が乏しくて困るんだよなぁ』
『困りますね』
『だろ、あんたは話が分かるようだ』
『違いますよ。こんなクソみたいな企画を持って来られても困ると言っているんです。ざっと見ただけでも分かるくらい粗末な案件です。もし、あなたが私の部下なら叱り飛ばしているところですね』
『なっ、あんた偉そうに! こっちは客だぞ!』
『それが何ですか、横柄な態度にイベントの重要性をまるで理解していない。そんな人にうちの大事な社員を侮辱される筋合いはありません。どうぞお帰りを』
この時の水瀬さんったら、本当にカッコ良くて。
スタンディングオベーションを送りたいくらい私は感動して泣きそうだった。いや、ちょっと泣いた。もう少しでブラボー!って叫ぶところだった。
そして、この一件から水瀬さんのことを他の社員たちも認めるようになったんだ。