今日も今日とて、告りますのでご覚悟を。


だって、私と大河原さんの接点なんて藤原くらいしかなくて。

わざわざ呼び止めて話をするとしたら、やっぱり藤原のことくらいしか思いつかなくて、あいつに関して何か相談でもあるのかな? って。

そんな心の声が顔に出ていたらしい。

目が合った大河原さんはクスリと笑って、煙草を口に咥えた。


「うちの可愛い坊ちゃんが、何かっていうと”同期の高木が”って言うんだよ」

「え?」

「あまりにその名前を耳にするから、どんな子か気になっちゃって」


何それ、何だか恥ずかしい。

というか藤原のやつ、どんだけ人の名前を口に出しちゃってるの? 同期愛もそこまで強くなるとある意味、怖いよ。後で文句言ってやる。

そんなことを考えている間も、じーと私の顔を見つめていた大河原さんはスーツの胸元に手を差し込み、スマホを出した。

着信でも入ったのかと思いきや、


「高木さんって下の名前なんだっけ? 番号教えてくれる?」

「え! あの、」


それってどういう意味で……。

聞こうとした瞬間、背後から名前を呼ばれた。反射的に振り返ると、水瀬さんが怖い顔をして立っている。


< 55 / 197 >

この作品をシェア

pagetop