マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様

幸運を運ぶ勝利の女神さま

***








「…マジ?…入ったの?」

「本日、二本目…?」



まさかの展開。

この球場内にいる誰もがそう思っているだろう。

場内は、不自然なぐらい静まり返った。



蓑島くん、本日二本目のホームランに。



「すげえ…!」

「何なんだ!すげえぞ!」



少しの間を置いて、球場内は一気に沸き上がる。

叫んでいる人もいて、異様な盛り上がりだ。



ノーアウト満塁、次は蓑島くんの打席という場面で、なんとあちらのエースが登場。

当たった打球がフィールド外に逸れるというファールボールを繰り返し、相手のエースに食らい付いて。

そして、とうとう飛び出した、ホームラン。



「逆転…逆転だ!」

「蓑島すげえぇぇっ!」



こっちのスタンドも、異様な盛り上がりだ。

まさかの展開に興奮を見せる者もいれば、呆然としている部員もいる。

そんな中、蓑島くんは本日二度目のダイヤモンドの一周をする。

ベンチ前で、仲間とハイタッチしている蓑島くんは、ニカッとやんちゃそうに笑っていて可愛い。

スコアは8-6となっていた。

一挙に四点入り、大逆転。




「………」



私の隣にいる横川さんは、ポカーンとしている。

そのスコアを映し出す電光掲示板を見ながら、時が止まったかのように。



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