王子様とブーランジェール

浴衣姿で偉っそうに









学校祭、最終日。

本日は、一般の人に向けた公開で、学校外の人間も出入りすることになっている。



だが、朝イチ。

一発目に来た一般人とは。




「何だなんだこれは…」

「え。何これ」


理人と他のクラスを見に行こうと、ちょっと教室から離れていた。

一年生のフロアだけ一回りして帰ってくること、15分後。

1年3組の中は、別世界となっていた。



「お姉さん、わたあめソーダくださぁーい!」

「わたしはピンクのわたあめにしてー!」



わたあめの前に群がる、小さい人間たち。

ザ・小学生。

低学年ぐらいか?



「かばやきさん10枚くださぁーい」

「おまえ、大人買いだわー」

「一枚10円だもーん」



駄菓子の出店の前にも小学生の集団。



「これ、なんですかー?」

「あ、これね、カッコいいお兄ちゃんが見れるんだよー。一回100円ねー?」

「わぁー!イケメンだいすきー!わたし見るー!」

「わたしも!わたしも!」



見せ物小屋にも、女子小学生。

…って、おい!小学生にそんなもの見せるな!咲哉!



昨日に引き続き、教室内がカオスだ。

小学生だらけ?!

わらわらわらわら…小さい人間・小学生が山のように、溢れるようにこの教室内にいる。

ざっと30はいる。



「なんか、小学校の友愛セールみたいだな」

「地域交流でもはかっとんのか。うちのクラスは」



教室に小学生がはびこるその様子を、しばらく呆然と見守る。

すると、わたあめ売り場の方がやたらと騒がしい。



「わたし、きいろのわたあめがいいー!」

「わたあめソーダくださいー!」

「桃李!カネはなんぼでもあるからな?こいつら全員にわたあめふるまってくれや!」

「え?あ、うん…」



わたあめを作っている桃李の傍から離れずに、偉そうに…。

やはりおまえか。

このクソガキ。



「あれ?あそこにいんの、美奈人じゃね?友達連れてきたのか?」



理人も気付いたようだ。

そうか…このちびっこたちは、こいつが連れて来たのか。



すると、向こうもこっちに気付いたようだ。



「おぉー!理人パイセン!久しぶり!」



こっちに向かって、手を上げている。

その仕草が妙におっさんくさい。




このクソガキは、雨宮美奈人といって。

この近辺に住んでいる、桃李の親戚。

再従兄弟というやつだ。




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