王子様とブーランジェール

神様、黒いもやもやから助けてください





とうとう、中学生活もあと一年。

私達は、三年生になる。



三年生といえば、本格的に受験の準備をしなくちゃいけない一年ではあるけど。

まず、その前に楽しいイベントが待っている。



5月末。

もうすぐ、修学旅行。



昼休みの真っ最中。

私達は教室の隅に集まって相談をする。

ガイドブックを拡げながら。



『…横浜中華街で食い倒れツアー?』

『そうそう。もう、美味しいものいっぱい食べよう?』



そう提案するのは、同じ委員会だった今井くん。

三年間同じクラスになり、また一緒に文化委員をやっている。今井くんはとうとう文化委員長になってしまった。

『うわぁー!旅行といえばやっぱり食べ物だよねー?』

『今井くん、いい企画だよー。中華まんとかシュウマイとか?』

私の他、同じ地味子グループの智恵理ちゃんや、萌香ちゃんも感激した声をあげていた。

『お父さんにどこのお店が美味しいとかおすすめ聞いてみるよ。だからみんなも行きたいところあったら教えて?』

『うん、わかった!』

今井くんのお父さんは、横浜出身。

今井くん自身も、生まれも育ちも東京都で、小学校五年の時にこの札幌、隣の星天南小学校に転校してきたんだって。

私と同じだ。



修学旅行は、横浜と東京。

2泊3日、飛行機で移動。

初日は飛行機移動と、横浜でみんなでカップヌードル作ったりするみたい。

二日目は、横浜内で自由行動。

三日目は、東京で浅草やスカイツリー見学。

この、二日目の自由行動に何をするか。と、みんなで考えていたとき、今井くんが提案してくれたのだった。

今井くんが私の隣で『あ、そうだ』と呟く。

『あ、神田さん、実は…隣のクラスだけど、竜堂さんたちも誘ってるんだ』

『え?秋緒?』

『うん。神田さんや僕とクラス離れちゃったからつまんないって言っててね?じゃあせっかくだからどう?みたいな』

『秋緒と?嬉しい!今井くんありがとー』

秋緒とは、一年、二年、クラス一緒だったのに。

三年で離れてしまった。

『桃李に今井くん、萌香に理人くんまでみんな一緒なのに、私だけ別って何ですか!しかも肝心な三学年というのに!』と、だいぶご立腹していた。

でも、秋緒も自由行動で一緒に行けるなんて。

今井くんに感謝だ。



『俺、小籠包食いてー。今井連れてってー』



私達の輪の中にずいっとデカいのが入ってきた。

理人だ。

今井くんと私の間に無理矢理座る。

今井くんは笑いながら『はいはい』と答えている。


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