王子様とブーランジェール




学校祭のダンスに挑戦し、みんなと造り上げた一体感に楽しみを感じて頑張ってはいたが。

眼鏡を外すという、決死の覚悟の結果は、私を取り巻く環境を大きく変える。






(やややや…)



『ねー?君、一年生?』

『何組?名前教えてー?』



学校祭の当日。

お店でもお世話になっているお砂糖の業者さんが、わたあめを作る機械を持ってきてくれた。

夏輝と理人に教室まで運んで貰ったけど、わたあめ用の色とりどりのザラメをアウトレットで格安で譲って貰ったし、今日もわざわざ機械を持ってきてくれたため、お礼言わなきゃ。

正面玄関口に向かい、直接お礼を言って教室に戻ろうとしていたところ。



知らない男子に声をかけられる。



しかも、体が大きくて多少チャラっとしている体育会系の人二人…恐らくセンパイだ。

こんな感じの人、キラキラグループの先輩なんて話なんかしたことない。



最近、こんなことがしょっちゅう。

天パ眼鏡をやめてからだった。



眼鏡を外してストレートパーマをかけて、スカートを短くして登校した時は、みんな可愛いと言ってくれた。

だけど、その裏では、こう知らない男子に声をかけられることが多くなっていて。

その数は数えきれず。




『君、可愛いって言われない?』

『今度一緒に遊びに行こうよー?ケー番教えて?あ、LINE交換して!』



あわわわ…。

なぜ、知らない人…私のケー番を知りたがるのですか。

一緒に遊ぶって、何をするんですか。

ケードロですか。



迫ってくるそのお誘いが恐くて。

びくびくしながらも、何も言えないでいた。



恐い、助けて…!



(な、夏輝…)



『い、い、い、一年三組…か、か、神田桃李でご、ございますっ!』

『とうり?変わった名前だ…あっ!逃げた!』

『うわー。照れちゃって可愛いー。また声かけよー』



自己紹介をして、なぜかダッシュで去る。

恐くてどうしていいかわからなくて、取り敢えず逃げてしまっていた。



…こうして、声をかけられた場合。

律子さんは『顔がOKなら、取り敢えずLINE交換だよ?』と、言われていたが。

そ、そんなワケにいかない。





それに…無意識に夏輝に助けを求めてしまった。

これも、しょっちゅう。



何でだろう…。

私ってば、図々しいにも程がある。


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