星降る夜はその腕の中で─「先生…私のこと、好きですか?」
プロローグ

『やっぱ、なんか夢があるとさ、人って頑張れたり、気持ちが救われたりすると思うんだよ、俺は』


        *


 もしも空に喩えるなら

 私は、星一つない深い深い暗黒。


 果てしないその闇は、小さくささやかな夢も希望も見出ださせる隙はなくて、この夜にひとりきりの私を苦しめる。


        *

『だからさ、俺、


 南条の夢《それ》を一緒に探したいと思う』

        *

 その暗黒にあのとき射し込んだ一条の光は、ヴィーナスや、ポラリスや、シリウスや、どんな艶やかな星よりも目映く私を照らしてくれた。

 温かなその星彩は私を抱き、絶望に追いやられ命の縁から闇に落ちそうな私にも未来があることを教えてくれた。


 もう夜闇も怖くない。

 怯えて、涙に耐えて過ごす夜はもう来ない。


 光が、貴方が導いてくれるから─


        *


『夢が叶ったら、その時は俺から言うよ。

 南条への想い全部』


        *

 だから、ねぇ?

 ずっと私を見守っていて。
 ずっと傍にいて。


 そして私をその腕に抱きしめていて。


 貴方は希望の光。私の未来。私の全て。




 ねぇ、先生─


     *   *   *
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