星降る夜はその腕の中で─「先生…私のこと、好きですか?」

 たった一問の今日の質問が終わってしまうと、途端に寂しくなる。


 帰らなきゃいけないかな?
 そんな雰囲気に包まれる。


「先生今日は忙しい?」


 離れ難くて隣の先生に訊ねる。


「うん、まぁ今日はそんなに」

「…ね?今日はちょっとお喋りしてってもいい?」

「なんだ、唐突に」

「先生にね、聞いてみたいこといーっぱいあるの」


 先生と一緒にいたいの。先生のこと、いーっぱい知りたいの。


「ふーん。どうぞ、何なりと」


 先生は甘い笑顔で言う。


「んー、あのね…先生の誕生日、5月なのかなーって思って」

「そうそう。何で分かった?」

「メアドに数字入ってた」

「あはは。南条すげぇ!探偵じゃん!」

「ていうか先生。メアドに生年月日入れちゃダメだよ!アカウント乗っ取りとかして下さいって言ってるようなもんだよ?」

「あっはは。そうかー」


 先生が天井を仰いで大笑いする。少年ぽい屈託ない笑顔が可愛い。


「じゃ、メアド変えよう」


 一頻り笑った先生がバッグからスマホを取り出す。


「え?今?」

「うん。早い方がいいでしょ、そういうの」


 先生が素早くスマホを操作し始める。


「南条は誕生日いつ?」


 スマホを弄りながら先生が訊ねてくる。


「え、と…12月12日」

「もうすぐじゃん。何かお祝いしないとね。」

「えっ!いいよ、そんなの!みんなにお祝いしてたら先生大変なことになっちゃうよ」

「さて、出来た。今新しいアドレス送る」


 先生は更にスマホを操作すると、

「スマホ見てみ?」

と言う。
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