星降る夜はその腕の中で─「先生…私のこと、好きですか?」
10月~家庭訪問
 早朝。

 私は先生のいない先生の部屋で、どういうわけか母の声で目を覚ました。


 母は

「まったく…先生にご迷惑をお掛けして…」

とかは言っていたけれど、それ以上は特別言わなかった。


 正直私は家に帰りたくはなかった。

 けれど、それは先生の本意ではないのが分かってる。

 私は素直に母の後に付いて先生の家を出た。
 路地を抜けた道路に停めてあった車には父が待っていて、私は黙ってそれに乗り込む。


 その車中で、先生が進路の件で夕方家に来てくれる、と母に聞かされた。


(先生がっ!?うちにっ!?)


 昨夜から散々迷惑をかけて、更に休み返上で来てくれる先生には申し訳ないと思いつつも、

(今日も先生に逢える!)

なんて思わず浮かれて、うっかりにやけてしまいそう。

 そんな様子を両親に気付かれないように窓に張り付いて外を食い入るように眺めた。


 帰ったらお風呂に入って着替えて…

 何着よう?

 なんか可愛い服、うぅん、先生の好みに合いそうな服…

 あ!寝不足で酷い顔してないかな?


 こんな私ってやっぱ不謹慎かな?
< 79 / 316 >

この作品をシェア

pagetop