ツンデレな後輩なんて99.9%好きにならないから!


「助かりました。ありがとうございます。恥ずかしいところ見せちゃってすみません。」
去っていった、男たちのの背中を見送ったところで、女の子が広瀬に
頭を下げた。


かわいい…。ううん。そんな言葉で表現できない。
女の子は、さっきまでずっと俯いていてから気づかなかったけど、信じられないほどの美少女だった。色白で折れてしまいそうなくらい華奢な体に、手のひらサイズの小さい顔。ぱっちりの色素の薄い大きな目に桜色の薄い唇。腰に届きそうなパーマのかかったミルクティー色の髪。
西洋のお人形さんや洋画から飛び出してきたみたいに美しくて、儚げで、目が離せなくなる。かわいすぎて同じ生物かどうかすら疑いたい。

こんな子が背負い投げするなんて…。

「なかなかの腕前なんですね」
と、広瀬が言うと女の子は頬をピンクに染めてはにかんで見せた。

「乃愛!」
いきなり、後ろから聞きなれた声がし、振り返ると時雨が立っていた。


「時雨?どうしてここに?」

時雨のほうも、驚いたようすで
「お前らこそ二人で出掛けてるのか?」
と、聞いてくる。

「明日の合宿の買い出し!」

あたしが答えていると、少し控えめに

「あの…。時雨のお友達なんですか?」
と、間にさっきの美少女が入ってきた。

「部活一緒で…。あたしはマネでこっちは2年生部員」

と言うと美少女は少し焦ったように視線を泳がせた。

「てか、逆に時雨はこのかわいい子と待ち合わせ?どういう関係なの?」

と、聞くと

「お前らには関係ないから忘れろ。乃愛行くぞ」

と、慌ただしく逃げるように美少女の肩を抱き、あたし達から背を向けた。

ちょっとイケメンだからって、その態度はなんかムカつく。

「明日、時雨が美少女の肩を抱いて歩いてたって、時雨のファンの女の子達に言っちゃおうかなぁー。そんな事知れたら女の子達が押し掛けてきて大変だろうなぁー。」

と、背中に向かって煽るように言ってやる。
なぜか、広瀬はそんなあたしをバカだなぁと言いたげな冷めた視線で見つめてきた。

時雨は、うんざりとした顔で振り返ると、

「しょうがねー。話すからどこか店入るぞ。」
と、ため息混じりに言われる。

あたし達は、とりあえず近くにあったファミレスに入り、一番奥の席を確保する。昼過ぎのこの時間帯は割りと空いていてゆっくり話せそうだ。
私と広瀬が横に並びテーブルを挟んで向こう側に時雨と美少女が並んで座っている。

時雨はメニューを興味深そうに見つめ、美少女は物珍しそうにキョロキョロと店内を見渡していて、いっこうに話す気配がない。

「ねぇ、あたし達まだ買い物終わってないし、二人のデートの邪魔したくないから、さっさと話してくれない?」

じとー。とした目で時雨を見ると

「ファミレスに初めて入ったがなかなかバラエティーにとんでいていいな。というか、お前が聞きたがったから入ったんだろ。」

「そうだけど…。」

そんなことをしている間に、店員さんが注文を取りに来る。
とりあえずパフェ4つとドリンクバーを頼んで視線を美少女に向けた。

「えっと、自己紹介してなかったですよね。
瑠璃川 乃愛(るりかわ のあ)といいます。城華女子学園の2年です。よろしくお願いします。」

愛くるしい微笑みを浮かべ、ペコリと頭を下げる。
年下だったのか…。

「実は、乃愛と俺は生まれたときからの許婚だ。今どき珍しいかもしれないけどな。」

いいなずけ?え、許婚!?
彼女くらいにしか考えていなかったので、びっくりしてしまう。

「なんでそれ隠してるんですか?」
広瀬は、さして驚いたようすもなく淡々と質問する。

「俗に言う互いの利益のための親や親戚が決めた政略結婚だ。それを外部に漏らすのはいろいろなリスクがある。俺と乃愛は納得している。だから、お前らもこの話を口外するなよ。」

と、マジな目で見つめられる。美形の真顔は恐ろしい。

ちらりと、隣の乃愛ちゃんを見ると少し俯いて微笑んでいた。
本当に乃愛ちゃんは納得してるのかな…。

「わかった。話さない。なんも考えず聞いてごめん。でも…。」

あたしが話そうとしたタイミングでちょうど、パフェが運ばれてきた。




店員さんが去ったあと。なぜか無言になってしまう。

「とりあえずドリンクバー取りに行きません?」

空気を壊すように広瀬が言ってくれ、広瀬と時雨が先に席を立ちドリンクバーへと向かった。

残された乃愛ちゃんとあたしは、先にパフェを食べ始める。

「美味しい…。」
嬉しそうにクリームを頬張る姿がかわいくって思わず見惚れそうになる。

「私の顔になにかついてます?」
あたしの視線に気づいた乃愛ちゃんがキョトンとした顔で尋ねてくる。

「ううん。非の打ち所がない顔してるなって。千年に一人っていって過言じゃないわ。そんなにかわいいと人生イージーモードだろうなぁ。」

と呟くと、乃愛ちゃんは少し困ったように笑った。

「全然イージーじゃないですよ。時雨ってスゴいじゃないですか。ほんとに私は尊敬してて大好きなんです。スゴすぎて、許婚だから隣にいられるだけで、時雨にふさわしくしていないといつか捨てられちゃうんじゃないかと不安でずっと堪らないんですよ。」

スプーンを置きながら、視線を揺らす。
また、あたしいらないこと言っちゃったな…。

「ごめん。いい加減なこと言って。」

「いえ…。でも、お願いが1つだけあって私がナンパしてきた人を背負い投げで撃退したこと時雨には言わないでほしいんです。時雨の前では、かわいくて守ってあげたくなるような子でいたいから。そうじゃなきゃ時雨は私のこと見てくれなくなっちゃう。」

悲痛そうに呟く乃愛ちゃんを見て、だから時雨が来たとき焦ったような表情をしていたのかと思う。
この子、ほんとに時雨が好きなんだな…。

「わかった。広瀬にもあとでこっそり言っとく。」

パアッと安心したように笑うと
「ありがとうございます。」
と、頭を下げた。

「お前らなんの話してたんだ?」
戻ってきた、時雨が聞いてきたけど、「二人の秘密!」と笑って誤魔化し、あたしは乃愛ちゃんを連れてドリンクバーへと向かった。





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