次期社長と訳あり偽装恋愛

「ねぇ、もしかして宮沢って玲奈のこと好きなんじゃないの?」

「は?そんなんじゃねぇし。やめろよな」

そんなことを言っておきながら、宮沢の顔が赤くなっている。
全く説得力がないんですけど。

「何だよ、その目は」

ジト目を向けていたら、それに気付いた宮沢が嫌そうな顔をする。

「別に、素直じゃないなと思って」

「俺はいつだって素直だよ」

「どこがよ。玲奈の恋バナを聞くたびに文句を言ってるじゃない」

私の言葉に宮沢は押し黙る。
その沈黙から私の考えは間違っていないんだと思う。
ふと、立花さんの言われたこと思い出した。

『自分の想いを伝えるのは大切なことだと思う。言わずに後悔したことは何年経っても自分の心に残ると思うんだ』

ずっと告白なんてしなければよかったという思いがあった。
だけど、私は立花さんの言葉を聞いて気持ちを伝えてよかったんだと思えるようになった。

宮沢には後悔して欲しくなくて、お節介かもしれないけど言わずにはいられなかった。

「このままでいいの?」

「いい訳ないだろ」

観念したのか、宮沢は素直に自分の気持ちを吐露する。
宮沢の表情から苦悩しているのが見て取れる。

「アイツ、頻繁に合コンしてるのか?」

「今回は久々って言ってたから、頻繁にはしてないと思うよ」

私が知ってる限りでは三回は行ってるけど、それで彼氏が出来たという話は聞いていない。
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