次期社長と訳あり偽装恋愛

部長にゴーサインをもらい、『ロジュアル』の方にアポイントを取った。
ちょうど『ロジュアル』側も新しいことにチャレンジしたいということで、お互いの思惑が一致してコラボすることになった。

何度も打ち合わせを重ね、満足してもらえるように努力した。
そして『ロジュアル』とコラボした商品が出来上がった。
シャーペンやボールペンはもちろん、マスキングテープも作った。

デザイナーの野中さんと何度も話し合って『ロジュアル』の担当者にテザインのオーケーをもらうまで苦労したことが思い出される。

やっぱり自分が企画した商品の売り上げは気になるから、宮沢の言葉を聞いて心から安堵した。

「お疲れ~」

トレイに中華定食をのせた玲奈がやってきて私の隣に座る。

「お疲れ」

「いただきます」

玲奈は手を合わせて中華丼を食べ始める。
私は思わず、目の前に座っていた宮沢を見る。
この前、『覚悟を決めないと』とか言ってたよね。
あれからどうなったのか分からない。
多分、まだ行動に移していないと思うんだけど。

気になって玲奈と宮沢を交互に見ていたら、宮沢がテーブルの下で私の足を軽くつつき「ジロジロ見るなよ」と言うように目で訴えてきている。
ヒェッ!
私はおとなしく玉子焼きを頬張る。
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