血だらけペガサス

キッチンでは母親が朝ごはんを用意してくれていた。
母親と、倫太郎の二人暮らしだった。

彼は片親である。
小学四年生の時に両親が離婚して、
それで東京に来たのだ。

二人暮らしだし、
母親が看護師免許を持っていたので、
母子家庭でも不自由はなかった。


倫太郎はできるだけ急いで朝ごはんを食べ終わって、
足早に家を飛び出した。

「行ってきます」

「今日早いの?」

「まあね」

外の景色は先ほどよりももっと明るくなっていた。

雲一つ見えていない真っ青な空で、
どこまでも澄んでいた。

清々しい風が流れるたびに倫太郎の心は寂しくなった。

やさしい風が彼の心に空いた穴を、
通り抜ける気がするからだ。


カラスが三羽ほど飛んできて、
電線にとまった。

カアカアと鳴いている。
白い目で睨まれた気がした。


フンを落とされないように気を付けながら、
彼は速足で学校へと向かった。
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