優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。

「えーっと、そのあれだ。まずは、俺の頬を殴れ」

身長が大きい優大くんは、私の目線まで体を屈ませた。

「連絡をしなかった俺を、おもいっきり殴れ。殴ってくれ。殴って、殴って、それでもまだ彼氏の位置に戻してくれるなら、顔が変わるぐらい殴ってくれ」
「ばか!」

頬を突き出してきた彼に、私は抱き着いた。
相変わらず、お日様の匂いがする。

馬鹿。卑怯者。バカ。嫌い、バカ。
会いたかった。
声が聞きたかった。
電話したかった。
会いたかった。
好き。
好き。

悔しいけど、優大くんを見たらまだ好きな私がいた。
会いたくて、会いたかったから、怒りよりも悲しい気持ちの方が湧き上がってきた。

「俺さ」
「こらあああああ、優大!」
「うわ、やっべ、織田だ」

皆と織田先生が、優大くんを見かけて走ってきた。

「他校性が入ってくるな!」
「ゆうだーい」

「やべえ、ちょっと走る」

私の手を引いて、彼は駄菓子屋の奥に隠れた。
まだ校門の周りでは、皆が私たちを探していた。

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