【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
「さっむ……」
自転車を駐輪場の一番奥に止めると、両手をこすり合わせて冷えた手を温めた。
十二月の半ばの今晩は、特に冷えている。
何もこんな時期に放火することないじゃない!
放火犯に季節は関係ないだろうが、こうも寒いと文句しか出てこない。
大きなバッグを肩に掛け、時間外出入り口へと歩き出す。でも出入り口を目前にして、その足を止めた。
罪悪感──ふと、その言葉が頭の中を過り、次の一歩を踏み出せないでいた。
普段なら何の気なしに通り抜ける場所も、後ろめたい気持ちがある時はどうも緊張してしまう。でも他に行くあてのないわたしにとって、こんなところで戸惑っている暇はない。
「蘭子、頑張れ」
朝と同じように小さな声で自分に自分で発破をかけると、重くなった足を一歩踏み出した。
「……お疲れ様です」
防災センターも併設している、守衛室の前を無事に通り抜けた。
今晩は顔見知りの警備員も居なさそうだとホッとしたのもつかの間、前から歩いてくる外科医の田所真司(たどころしんじ)が遠目に入ってきた。
田所先生は愛川先生と同期の医師で彼の親友。愛川先生とは正反対の性格で、真面目を絵に描いたような実直な人柄だが、理解力もあり話のわかる良い先生だ。
だからといって、ここで見つかるわけにはいかない。
さすがに黙って宿直室で寝泊まりしようとしている自分を、いくら田所でも見逃してはくれないだろう。
自転車を駐輪場の一番奥に止めると、両手をこすり合わせて冷えた手を温めた。
十二月の半ばの今晩は、特に冷えている。
何もこんな時期に放火することないじゃない!
放火犯に季節は関係ないだろうが、こうも寒いと文句しか出てこない。
大きなバッグを肩に掛け、時間外出入り口へと歩き出す。でも出入り口を目前にして、その足を止めた。
罪悪感──ふと、その言葉が頭の中を過り、次の一歩を踏み出せないでいた。
普段なら何の気なしに通り抜ける場所も、後ろめたい気持ちがある時はどうも緊張してしまう。でも他に行くあてのないわたしにとって、こんなところで戸惑っている暇はない。
「蘭子、頑張れ」
朝と同じように小さな声で自分に自分で発破をかけると、重くなった足を一歩踏み出した。
「……お疲れ様です」
防災センターも併設している、守衛室の前を無事に通り抜けた。
今晩は顔見知りの警備員も居なさそうだとホッとしたのもつかの間、前から歩いてくる外科医の田所真司(たどころしんじ)が遠目に入ってきた。
田所先生は愛川先生と同期の医師で彼の親友。愛川先生とは正反対の性格で、真面目を絵に描いたような実直な人柄だが、理解力もあり話のわかる良い先生だ。
だからといって、ここで見つかるわけにはいかない。
さすがに黙って宿直室で寝泊まりしようとしている自分を、いくら田所でも見逃してはくれないだろう。