【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
総合受付というのは病院の顔とも言えるポジションで、患者さんと一番に顔を合わせ話をするのが私たち受付スタッフ。医師や看護師とは違って直接的な治療を行うことはできないけれど、笑顔での対応や小さな配慮で患者さんに寄り添える大切な場所だと思っている。

愛華総合病院のように大きな病院には、一日に何百人の患者さんが来院する。それぞれ病状や診療科が違うからマニュアル通りにいかないことも多いけれど、多くの人と関わって日々成長を感じることができていた。

「よし蘭子。今日も一日頑張って」

こちらもいつものお約束で自らを鼓舞すると、朝入ってきた従業員用の出入り口の方へ戻りロッカールームへと急ぐ。すばやく制服に着替え肩まである髪をひとつに纏めると、お気に入りのメガネを掛けて受付カウンターへ向かった。

まずはカウンター内にある小さなゴミをかき集め、おもむろに雑巾を広げると、カウンターの上を拭き始める。

この街一番の大きな病院だ。もちろん清掃業者は入っていて、どこもかしこも綺麗だが、これはわたしが好きでやっていること。こうやって拭き掃除をして就業前の気持ちを整えるのが、いつしか日課になっていた。

カウンターの上や仕事をするところが綺麗になっていて、文句を言う人はいない。受付スタッフも患者さんも気持ちよく過ごせるように……を常に心掛けている。

なんて言うと大げさだが、簡単に言えば掃除が好きなのだ。と言っても、潔癖症ではない。




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