終わりは始まりか ~私達の場合~
「君と仕事を出来て…、本当に良かったよ。」

そう話しかけてきたのは設計部の佐藤さん。

とてもやり手の佐藤さんと組んだ仕事は大変な現場も多かったが…。

「いろいろとお世話になりました。」

少し先輩の佐藤さんに私は神妙に頭を下げる。

「君の仕事は細かい所まで行き届いていたからこちらも助けられたよ。」

最期にそんな事を言われて、こちらが気恥ずかしい。

本当に仕事上でいろんな相談もしたし、勉強もさせてもらった…。

私達は微笑み合うと、握手をする。

私は少しその大きな手を見つめてから放した。

仕事をしている時の佐藤さんが何となく好きだった。

いつもはこんな流ちょうに話すタイプではなかった。

あまり私の領域に入り込んでこない人。

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