終わりは始まりか ~私達の場合~
2
「では皆さん、お元気で。」

私は大勢に見送られながら、その店を後にする。

花束ではなくて何か記念品をもらったが、それは実家に帰ってから確認しよう。

私は何か空虚なものを感じながら歩き出した。

形式だけの送別会に思えてしょうがないのは、私のこんな性格のせいだろうか。

仕事上のつながりはたくさん出来たけれど…。

何だか面白くなくて、私は空を見上げる。

「どこに行こうかな…。」

明日の朝一番の新幹線に乗れたら都合がいいかな。

まあ、焦って早く帰る必要もないけれど、両親を安心させたい気持ちはこんな私にもある。

「帰って早々こき使われるのかな。」

そんな風につぶやいた時だった。

「一人で帰ってしまうつもりですか。」

< 7 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop