終わりは始まりか ~私達の場合~
10
麻生くんは鋭いから、どこまで見抜いているんだろう。

陽輝に添い寝をしながら、そんな事ばかりが頭の中を駆け巡る。

こんな調子で一週間もいられたら、私が参ってしまいそうだ。

まさか、ここを突き止めてやってくるなんて。

今更ながら麻生くんとの再会に信じられない気持ちだ。

うわの空で陽輝をあやしていると、いつの間にか陽輝から可愛い寝息が聞こえて来た。

一生懸命寝かしつける時に限って手こずるのに。

さすがに今日は伊吹の家に預けられて、疲れてしまったんだろう。

私は陽輝の可愛い頬にキスを落とす。

「お休み。」

私は陽輝を起こさないように、リビングに戻った。

お父さんと麻生くんは何か話をしていたようだったけれど、私の気配に口を閉ざした。

「お父さん、陽輝を頼むね。」

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