勇気の魔法は恋の始まり。
「なんなんこれ!?青汁風ジュースいちごバナナ!?意味わからんやん!」

 ただし、流星に変なジュースを差し入れするのは杏に限った話である。

 それでもプルタブを開けて恐る恐る口をつける流星を、水帆は純粋な尊敬の気持ちを持って見守った。

 途端に顔が歪む。

 とっさに口を抑える流星にりんりんが素早く水を手渡す。

 杏はそれを見て、流星用に買って来たであろうまともなジュースをりんりんに投げる。

 最近のこの二人はいいコンビで、こうしてイタズラされた流星のフォローをしているのはいつもりんりんだ。

 そう思っているのは水帆だけでは無いようで、今も同級生のほとんどが二人を微笑ましく見ていた。

 この時の賑やかな雰囲気で水帆は北斗が何を言ってたのかわからないまま忘れてしまっていた。
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