チャンスをもう一度
す**思いもよらぬ

陽翔は、何度も望海に連絡するが
携帯は繋がらず・・・

望海のマンションにも行くが
応答もない。

隣の西園寺の部屋も
応答がない。

望海の実家にも伺ったが
望海の両親にも会うことは
出来ず・・・
毎日、会社帰りに
同じ行動を繰り返す日々・・・

何がどうなっているのか
また、望海を失ったのかと
考えると不安に押し潰されそうになる

実は・・・

父・透は考古学でインドに行き
母・百合は、望海の所にいた。

まもなく、産まれてくる赤ちゃんの為に。
 
透は、仕事が終わり次第イタリアに
入る事になっていた。

そうとは知らない陽翔は
途方にくれていた。

何日目かの本小路家に訪ねた帰りに
凌の父・信吾に会った。
「本小路家に何か?」
「はい。本小路さんにお会いしたくて」
「誰に?」
「望海さんです。
ですが、望海さんが不在でしたら
ご家族の方にと。
私は藤本と申します。」
「ああっ、もしかして望海ちゃんや凌の
同級生の子?」
「あっ、はい。
西園寺 凌さんのご家族の方ですか?」
「ああ、凌の父親だ。」
「そうですか?
でしたら、凌さんにお会いできませんか?」
「今、凌は仕事で海外に行ってるんだ。」
「‥‥‥そうですか。
     では、失礼します。」
と、言って立ち去ろうとしている陽翔に
「君は、また本小路家に?」
と、凌の父親の信吾に訊かれて
「はい、また伺ってみます。
どうしても報告したいことが
ありますので。」
「報告?という事は、先にも何度か?」
「えっ、はい、ここの所 毎日。
あっ、すみません。
不審な者ではありません。」
「あはは、そんなことは思ってないよ。
まあ、いいから上がりなさい。」
と、信吾は言って玄関に向かった。

実は、妻の綾も凌も仕事も兼ねて
イタリアに行っていた。

望海の赤ちゃんが産まれるので。

信吾は、すべてを聞いているわけではないが、
この子が望海のお腹の子の父親だとわかった。

それに真面目そうな子だと思い、
話を聞いてみようと思った。
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