チャンスをもう一度
せ**進展

透がイタリアに入ると
待っていたかのように
望海は、赤ちゃんを出産した。

赤ちゃんは、男の子で3000gあり
名前は、桜雅(おうが)とお祖父様がつけた。

おばあ様が好きだった桜の花と
雅な方だったおばあ様を想って考えたようだ。

よい名前だと
望海は喜んでいた。

母子ともに問題なく
みんなホッとしていた。

桜雅は本当に綺麗な顔をしていて
みんなを驚かせていた。

出産から二日経ち
母子共に異常なく
望海と桜雅は退院をした。

望海は、お祖父様の家に帰り
お父さん、お母さん、綾ちゃん、凌、
おじいちゃまとゆったりと過ごす。
と、喜んでいた。

退院して翌日の夜
桜雅が母乳を飲んで寝た後
お母さんがやって来て
陽翔の話をしてくれた。

話を聞きながら望海は涙を流した。

離婚したんだ。
私のせいで晶輝ちゃんは
お父さんと離ればなれになったんだ。

それに俺を信じて待っていて欲しいと
言ってくれた・・陽翔
待っていなかった私に呆れたはずだ。

考え込んでいた私にお母さんは、
「望海は、人の事ばかりだけど
貴女自身の気持ちはどうなの?
陽翔君に気持ちはないの?
桜雅には、お父さんがいなくて良いの?」
と、言われた。
「・・私は・・私だって陽翔が好きだよ。
陽翔の子だから桜雅がお腹にいるときも
頑張れたの。
私だって、陽翔に桜雅を見てほしい
桜雅にもパパだよって合わせてあげたい
だけど・・だけど・・・。」
「その晶輝ちゃんが気になるのね。」
と、お母さんに言われて
望海は頷いた。

「陽翔君は、お父さんと一緒に
イタリアに行くと言ったんだが
お父さんが、待って欲しいと
言って一人できたんだ。

嫌な男で、自分の事しか考えて
いないような男なら
望海に気持ちがあっても一生
会わせる気持ちもなかったんだが·····

離婚についても、
奥さんやお子さんの事も
弁護士の先生ときちんと考えていたよ。

望海の声を聞きたかったが
離婚や晶輝ちゃんの事で
また望海が傷つくのではないかと
きちんとしてから、と我慢した
と、言っていたよ。

離婚がきちんとしてからは報告したくて
望海のマンションや家に毎日訪ねて
いたらしい。
もう、いいんじゃないか?
お互いに寄り添いあっても。」
と、お父さん。
「お父さん、陽翔にあったの?」
「ああ、会って話したよ。
大学時代の事もきちんと謝ってくれて。
お祖父様の事も話した。
ただ、桜雅の事は私も信吾も話してない。
この件は、望海の了承がなく話すことは
できないからね。」
「ええっ、信吾ちゃんも。」
「男三人で会議していたみたいよ。」
と、お母さん。

「もう、素直になりなさい。
望海が二度と会わないと言うなら
お祖父様にお願いしたら
簡単なことだよ。」
と、お父さんに言われ
望海は、慌てて首を横にふった。
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