一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない


「行こう。宿屋で休んで、明日は早朝からティンバーを目指す」

「ティンバーを?」


ティンバーはフォレスタットの北、ヴラフォスとの国境沿いの街だ。

けれど、早くヴラフォスに入国するのであれば西にあるヴラフォスの町、ベルグに行く方がいいのではと首を傾げた。


「ベルグからではなく?」

「普通ならそう思うだろ? だから、ティンバーからヴラフォスに入るんだよ」


そうすることで、追ってくるアクアルーナの裏をかくのだとメアリは理解する。


「それに、ヴラフォスの帝都を目指すなら北へ上る方が早い」


ユリウスの言葉通り、このコリーナからベルグを経由しヴラフォス帝都を目指すとなると、広く伸びる森が邪魔をしている為に大きく迂回するかたちになる。

だが、北上しティンバーから国境を越えて順調に行けば、西から向かうより五日は早く帝都に着けるのだ。


「ともかく、今は宿屋だ。あとは食料の調達もしないとな」


部屋が空いてなければ野宿になる。

少し急ごうと言われ、メアリはユリウスと共に宿屋へと移動した。


< 196 / 330 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop